トモダチに交じって「ミッチャーン」と声をかける。するとミッチャンは、「んだよ」といいながらこっちを見てくれる。 「ウチらにもかまえー?」 「わりーな。かまってやれてなくて」 「いーよ。今度付き合ってくれたらチャラにしたげる」 「おっけー、今度な」  やさしいのだ、根っこのところが。長くはない付き合いでもよくわかる。それから。 「イヤならイヤって言いなよ」 「別にイヤじゃねぇよ」 「そっか」 「そっちこそ、何かあったら言えよ」  ほら、こういうところ。  トモダチと違って髪を染めてないし爪も伸ばしてないし制服も着崩してない。だからむりやり付き合わされてるんじゃないかと思われることが多いけれど、そうじゃない。 「たぶんね、ミッチャンと一緒なんだよ」 「一緒だぁ?」 「うん。あの子たちの隣は息がしやすい。もちろんミッチャンの隣もね」 「息? んー? わっかんねぇ……」 「あはは! わかんなくていいよ」  ミッチャンとは学校の外で出会った。トモダチに手を引かれて適当に迷い込んだまちで。学校は違うし、もしかしたら学年も違うかもしれない。でもそんなのは些細なことだ。ミッチャンと私の間にはいらないもの。  私はもうそろそろ現実と向き合わないといけない。そしてそれは私だけじゃない。ミッチャンに会えなくなるかもしれないのは、ちょっとさみしい。 「また会える?」 「またって、明日も会えるだろ?」  ミッチャンは何言ってんだ? という顔をしている。あたりまえのようにそう思ってくれていることが、こんなに嬉しいものだってきっときみは知らない。  でも私、ホントは知ってるんだよ。きみのこと。心の奥の、誰にも打ち明けていない深いところ。願わくば、ミッチャンの、三井寿のこれからを見届けられますように。きみのいちばん近くで応援できたらいいな。 2023.09